Amazonプライムにて鑑賞しました。
ストーリーとしてはものすごくわかりやすいリベンジ作品となります。
ストーリーの基本はほぼ同じ(レイプされて復讐する)なのですが、その復讐に至るまでの過程や心情などを読み取ったり、あとはツッコミを入れたりしていました^^;
以前レビューした「アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ(こちらもレイプリベンジ系)」と違って、前半のいや~~な胸糞シーンは少なめになっています。
※アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴのレビューは→こちら
ですが、嫌なシーンが少ないからといって 後半のリベンジシーンがつまらなくなる訳でもなくて ちゃんと見応えのある作りになっていて スッキリすることができました。
観終わってまず思ったのは、なかなかグロテスクだったということ。
耐性がある人からすると大したことないのかもしれませんが…。
終始「痛い痛い…」と思いながら目を細めて視野を狭くして観てました(あまり意味はないけど・笑)
そんなわけで 今回も色々とツッコミを入れつつネタバレ感想を書いていきたいと思います。
作品詳細
製作年 | 2017年 |
---|---|
製作国 | フランス |
上映時間 | 108分 |
監督・脚本 | コラリー・ファルジャ |
出演者 | ジェニファー / マチルダ・ルッツ、 リチャード / ケビン・ジャンセン、 スタン / ヴィンセント・コロンブ、 ディミトリ / ギヨーム・ブシェド、他 |
簡単解説
これが長編映画デビュー作となるフランスの女性監督コレリー・ファルジャが、血みどろのバイオレンス描写とスタイリッシュな映像で描いたリベンジスリラー。若きセレブのリチャードと不倫関係にあるジェニファーは、砂漠地帯に建つリチャードの豪華な別荘を訪れる。しかし、そこでリチャードの狩猟仲間の男たちに欲情され、襲われた挙句に、口封じのため崖の下へと突き落とされてしまう。なんとか一命は取り留めたものの、とどめを刺すため人間狩りを始めた男たちに対し、ジェニファーは復讐を開始する。主演は「ザ・リング リバース」のマチルダ・ルッツ。
映画.comより
簡単なあらすじ
金持ちのリチャードは愛人のジェニファーを連れて荒野の中に建つ別荘へとやってきた。目的は数日後に開かれる狩りの大会に出場することだったが、それまでジェニファーと過ごそうと思っていたのだ。
だが、狩り仲間のスタンとディミトリが一日早く到着してしまう。その夜は四人で楽しく食事をしたが、魅力的なジェニファーが誘惑するような踊りを披露したことで、スタンはすっかり彼女に夢中になってしまった…
MIHOシネマより
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基本的にネタバレを気にせずに書いているので、未見の方でネタバレしたくない方はご注意ください。
今回の主役、ジェニファー
最初はチャラチャラした女性が出てきたなぁという印象。スタイル抜群だし美人だし、今時のイケてる女子という感じでどう見ても戦えるタイプではないですよね。有名になりたいとのことだけど どうやら不倫してるっぽいし、後から登場する男達に対しても誘惑するようなセクシーダンスを披露したりしているので ちょっとね…。
私はこの先 ジェニファーにちゃんと共感できるんだろうか…と少し不安になった。
まぁよく言われていることですが、女性がどんなファッションをしていようが襲ってはいけない。見える所にお財布が放置してあっても盗んではいけないのと同じで。
とにかくジェニファーがレイプされてしまったのは 何となく自業自得な感じがどうしてもしてしまって、そのことが観ていてちょっと邪魔になってしまった。
(それでも女性は悪くないんですよ、ただ共感はしにくいな…と)
しかしながら セクシーであるという理由でレイプされたり崖から落とされる筋合いは全くなくて、気がつくと「早く復讐してくれ!全員地獄行きだ!」という思考になってました…我ながら単純です。
レイプされた挙句 崖から突き落とされて串刺し状態になったジェニファー。普通なら死んでてもおかしくない状況からの復讐。串刺しになった時に内臓とか脊髄とか傷付いてなかったのかな…とか、どう考えても失血死するはず…とか色々頭をよぎりますが もうとにかくリベンジして欲しいので ひとまず気にしないように頑張りました(笑)
ドラッグでトリップした状態で傷を焼く姿は とても前日までパリピ女子だったとは思えない。女版ランボー状態ですね。あれだけの怪我を負っている状態からのスタートなので 本当に復讐できるのかハラハラしてしまった。
監督のコメントによると
「長編映画を撮るためにいろいろと考える中で、彼女の人物像が浮かび上がってきました。この作品は、フェニックス(不死鳥)を重要なモチーフとして捉えていて、復活や再生を描いています。どこにでもいるような平凡な女の子が、劇的な状況に巻き込まれることで内なる力に目覚めて再生し、強い女性へと変貌していく、その過程を見せたかったんです。そのためには、バイオレンス描写に激しさが必要でした。ジャンル映画というと、単にバイオレンスの程度が話題になりがちですが、なぜ激しい描写が必要なのか、そこに確固とした美意識のある映画を目指しました」
出典:©realsound.jpより
なるほど…フェニックス(不死鳥) だからこそ ジェニファーは復活して再生したということですね。
ということは 傷口を焼いた時にお腹に転写したビール缶のイラストも 不死鳥ということになります。
ただ 監督の思っている「平凡な女の子」と、私の思う「平凡な女の子」がだいぶ違う…。
私の思う平凡な女の子っていうのは、どちらかというと地味な服装で 性格はおとなしめで、趣味は読書とか映画鑑賞とかのイメージでした(若い頃の私です…w)。
鬼畜なリチャード
ちゃんと洋服を着ているシーンの方が多いはずなのに、ずっとフルチンだったかのような錯覚に陥ってしまいました😂
アレ?最初から最後までフルチンでしたよね?(違う)
それくらい裸のシーンが多かった気がする😅
あと顎の割れ方が嫌いです(ただの暴言ですね)。狩りの大会に出場するため 不倫中のジェニファーと砂漠の別荘へ。不倫しているというだけでも アレなんですが、ジェニファーがスタンにレイプされた時は スタンに対して一応 激怒はしてましたが 「帰りたい」というジェニファーの要望には応えませんでした。ひどい…😨
そして レイプされた挙句に帰してもらえないジェニファーが「奥さんに全てばらす」と詰め寄ると、崖から突き落としてしまいました。ひどい…😨
もうレイプ云々というよりもただのサイコパスな殺人者です…。突き落とす時も一切の躊躇もなかった。あんなにラブラブだったのにそんなにあっさり殺せるものなの?彼女のことよりも自分が一番可愛いということでしょう。これは地獄行き決定です。
印象的なシーン
ところどころに登場する“蟻”。あえて超スローモーション&高画質で映し出されています。
別荘が美しいガラス張りやプールなど、映像がとても綺麗な印象でした。
蟻は甘い匂いを嗅ぎつけて“女性”に近寄ってくる“男性”をイメージしたのかな?と勝手に思っていますが…違うかな?
今回 リチャード達は狩猟大会に出場する予定でした。この“狩り”に関しても、女性を“狩る”イメージを持ちました。例えば、生きていくための必要な食べ物として“目的があって狩る”というよりは、ただ“狩る”という行為を目的としているので余計に。
狩猟仲間のスタンとディミトリ
この作品においては完全に雑魚キャラですね。ジェニファーのセクシーダンスにメロメロになってしまい 感情をコントロールできずにレイプしてしまったり、お菓子をクッチャクッチャ、ネチャネチャしながら食べ続けたり、とにかく欲望のままに生きている人物像だったように思います。
ただし リチャードはサイコパスで鬼畜なのだけど、この2人に関しては少しだけ人間らしい部分も残っているかな…と(鬼畜の部類には入りますが…)。
目をナイフで刺されたり ガラスで足を切ったりして痛そうなシーンもありますが、お腹を貫通しているジェニファーからしたらそんなもん“かすり傷”みたいなものですね。
ひたすらグルグル回る…
もう この映画はこのシーンを観れただけでも良かったと思ってしまった。あんなに広い砂漠での銃撃戦などを経て 最終的には部屋の中をグルグル回る。負傷してるので床は血の海です(あんなに早くグルグル回ってたら絶対滑って転ぶよね…実際転んでたけど💦)…グルグル回りながら心理戦なんかもあって ハラハラしました。
子供の頃によくこういう遊びしたなぁ~とか思い出したり。急に反対回りにしてみたりして ぶつかりそうになってキャーキャー言ってたなぁとか(笑)(←大人にうるさいって怒られるやつですね)
リチャードがお腹を負傷して腸が出ているのをサランラップでグルグル巻きにして抑えてるんですけど、フルチンで全身血だらけの状態でグルグル回ってるんですよね。申し訳ないけど少し笑っちゃいました。
もちろん命がけなのでドキドキハラハラもしてるんですけど、これはどんな状況なんだよ…って思ってしまって ちょっとだけフフフ…ってなりました😊
まとめ
相手は腕力もある無傷の男3人。対してジェニファーはたった1人。レイプによる精神的ダメージと お腹が貫通して肉体的に瀕死のダメージを受けた状態からのスタートだったので かなり劣勢でした。
結果的にジェニファーの勝利ってことで気分はスッキリしましたが 少々ツッコミどころが多かったようにも思う。
(それくらい非現実的な方が面白いってことかな?とも思うけど)
串刺しになったジェニファーがなんとか逃げた後、最初の復讐相手はディミトリでしたが その時はまだ棒がお腹に突き刺さったままでした。そんなん絶対無理でしょうってツッコミを入れずにはいられません(笑)
あとは 確実に男達に殺されそうになっている訳で…。復讐というよりは 殺される前になんとか反撃するしか選択肢が無いだけにも見えてしまう。これに関してはもう少し「絶対に許さない」という強い意志が伝わってくれば もっと共感できたような気がします。
そして、最初にも書いたようにレイプされたジェニファーに共感しにくい…というのも気になるところです。
監督はコラリー・ファルジャ(女性)ですが、インタビューでは以下のようにコメントしています。
「私がこの作品を手がけたのは、『#MeToo』の運動が起こる前でした。しかし、女性監督として映画界にそのような不平等感は常に感じていましたし、直接的にも間接的にも、女性へのバイオレンスは日常的にあるものだと認識していました。だから、『#MeToo』を意識せずとも、この映画には女性の怒りがメッセージの一つとして込められています。性差別は昔から常にあったことで、それがSNSなどを通じて可視化されている今、この作品が世に出たのは、私にとっては良い偶然です。この作品をそういう視点から鑑賞してくれる方も多く、現実的な出来事と作品の方向性が合致したとき、そのメッセージ性はさらに強まるのだと実感しています」
出典:©realsound.jpより
最近は女性の権利も主張されるようになってきてはいますが、日常の中にはまだまだ歪んだ認識というものがあるような気もします。それは男性だけでなく、女性の中にも 女性に対する性差別が潜んでいるのかもしれません。
ジェニファーは 不倫しているし、結局のところリチャードのお金や権力を利用しているし、露出の多い服装でセクシーダンスで男を誘惑していたし、スタンに対して「背が低い」とコンプレックスであろうことを言って刺激してしまうし
同じ女性目線で見ても “うわ~やらかしているなぁ”と感じてしまった。
ジェニファーという女性が なんの穢れもない純粋な女性で、弱く、非の打ちどころがなかったとしたら、この作品にもっと入り込めたかもしれない。
リベンジする時にもっとスッキリしたかもしれない。
素人の私がそう思うくらいなのだから、監督だってその方が共感は得られやすいと気が付いているハズだと思う。それなのにあえてジェニファーという人物像にしたのは、純粋で非の打ちどころがない女性であろうが、男を誘惑するような女性であろうが、性暴力はダメなのだと伝えたいのかな、と。
そして、もしやられたらどんなに瀕死の状態でも徹底的に戦うぞ!というメッセージも感じる。
私は女性ですが、私の中にも“女性はこうあるべき。そうでない場合は傷付けられても仕方がないのでは?”という認識が僅かながらあったのでハッとしたのでした。まるで「あなたの中にも歪んだ性差別意識はありませんか?」と監督に試されているような気分になった。“必ず完璧な状態でなければ被害を訴えてはいけない”という間違った認識。完璧な人間なんているはずないのに 無意識にそんな風に思ってしまっていた。
理解していたつもりでいたけど、深~いところではまだまだだなぁと。だけどそんな風に子供の頃から大人によって刷り込まれていた部分もあるので仕方ないよなぁとも思う。 未来のために時間をかけて少しずつ認識を変えていけたらいいなぁと思います。
とは言え、やっぱりわざわざ危ない場所に行ったり 挑発しない方が安全だとは思うのです。それは男女関係なく自衛すべきかと。
危険な目に遭いそうなことはやり過ぎず、精神が疲れるほどの自衛もし過ぎず、何事もバランスが大事だなと思います。
話が逸れましたが 作品自体はスッキリしたリベンジものなので、リベンジ系が好きな人にはおススメです。
胸糞が悪くなったり痛いシーンもそれなりにあるので苦手な人はちょっと注意ですが…。
私も強い女性になるべく日々精進しようと思います。
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