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映画「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」ネタバレ感想

映画 ベンジャミン・バトン ネタバレ感想

以前から気になっていた作品でしたが、3時間弱の少し長い映画なので なかなか手を出せませんでした。
ストーリーとしても淡々と進んでいくので 観る人の中には退屈に感じる人もいるようです。
「ベンジャミン・バトン」というのは、ブラッド・ピットが演じる主人公の名前なのですが、このベンジャミンの人とは違う人生を描いている映画です。なので 映画らしい派手さがあると逆に不自然になってしまいますね…。人生ってこんな風に淡々と過ぎていくのだけど、一人一人の人生は色んな障害や喜び、偶然が重なった結果なのだと改めて思える映画でした。
多分若い頃に観るよりも ある程度年齢を重ねた方が感情移入できる作品だと思うので、今観れて良かったと思います。

 

作品詳細

製作年2008年
製作国アメリカ
上映時間167分
監督デビッド・フィンチャー
脚本エリック・ロス
出演者ベンジャミン・バトン / ブラッド・ピット
デイジー・フューラー / ケイト・ブランシェット
エリザベス・アボット / ティルダ・スウィントン
トーマス・バトン / ジェイソン・フレミング、他

簡単なあらすじ

年老いて病床にあるデイジーは、娘のキャロラインにある日記を読むように頼む。その日記にはベンジャミン・バトンという男のことが綴られていた。母子はベンジャミンの人生を振り返る。
1918年、ニューオーリンズの老人施設の前に赤ん坊が置き去りにされていた。施設で働く夫婦はその老人のような姿に驚くが、子供を産めない体の妻クイニーは赤ん坊を引き取って育てる。
その不思議な赤ん坊の名前はベンジャミン・バトン。体は弱く、長くは生きられないだろうと言われたが、ベンジャミンは施設の老人たちと共に元気に育っていた。ただ、育つといっても不思議なことに、年が経てば経つほどベンジャミンは若返っていったのである……
MIHOシネマより

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基本的にネタバレを気にせずに書いているので、未見の方でネタバレしたくない方はご注意ください。

ベンジャミン・バトンが背負った宿命

映画 ベンジャミン・バトン ネタバレ感想(C)2008 Paramount Pictures Corporation and Warner Bros. Entertainment All Rights Reserved

ベンジャミンは年老いた80歳代の姿で生まれ、歳を重ねるごとに若返っていくという宿命を背負って生まれました。しかもベンジャミンが生まれた時に母親が亡くなってしまい、生まれたばかりのベンジャミンを見てショックを受けた父親は ベンジャミンを捨ててしまいます…。正直 この父親ひどいなぁと思ってしまったけど、今よりも偏見の多い時代に明らかに人と違う姿をしている しかも妻も亡くなってしまった…となると 1人で育てる自信がなくなってしまったのだろうと思う。家政婦に育てさせることも出来るけど、やはり素直に我が子を愛せる自信がなかったのかな、と。責任感から無理矢理育てるよりも、ちゃんと愛情を持って育ててもらえる方がベンジャミンとしても幸せだっただろうと思うので、結果的にはこの時に捨てられて良かったのだと思う。

まだ5歳なのに体は老体なので自由に歩くことも出来ない。普通であればピョンピョン飛び跳ねているような年齢なのに…。でも不思議と老人のベンジャミン表情や動きが無邪気で やっぱり子供だなって思えて可愛らしかった。

母親代わりのクイニー

映画 ベンジャミン・バトン ネタバレ感想(C)2008 Paramount Pictures Corporation and Warner Bros. Entertainment All Rights Reserved

老人保護施設?のような場所で 介護職をしながら暮らしているクイニーです。捨てられているベンジャミンを放っておくことが出来ず、引き取って育てることに。この出来事はベンジャミンにとって 一番最初の幸運だったと思う。ベンジャミンは老体なので白内障だったり骨など 色々な場所が弱っていて 医者に「長くはない」と告げられてしまいますが、クイニーはベンジャミンに対して「特別な子」として大切に育てます。まさに「捨てる神あれば拾う神あり」ですね。老人ホームということもあって、ベンジャミンが奇異な目で見られることもなく馴染んでいたのも良かった(というか馴染みすぎている…^^;)。
周りの人が常に彼に優しかったのもあって 素直な良い人に成長できたんだと思う。
(普通はこんな上手くはいかないとは思うのですが、不思議と違和感がなかったですね)
とにかくクイニーは素晴らしい。まるで神様がその行いを見ていたかのように なかなか授かれなかった子供を授かることもできて、それも良かった。良い人には幸せになって欲しい。

深い絆で繋がっているデイジー

映画 ベンジャミン・バトン ネタバレ感想(C)2008 Paramount Pictures Corporation and Warner Bros. Entertainment All Rights Reserved

デイジーと出会ったのはベンジャミンが5歳の頃で、ベンジャミンの初恋の相手でした。見た目はお爺ちゃんだけど 本当は子供なんだと打ち明けた時に、
デイジーは「普通のお爺ちゃんとは違うと思った」とすんなり信じます。意気投合して仲良く遊んだりしてるのを見ると、そういえば子供の時って一緒にいて楽しいかどうかしか考えてなかったなぁと思い出す。見た目とか どんな家に住んでいるとか 肩書きとか よくわからなかったし、子供の直感?で気が合う人というのが居るのだと思う。そう思うとデイジーとベンジャミンは子供の頃から相性の良い相手だったのだろうなぁと。

デイジーは美しいダンサーに成長し、自由奔放な女性に。お互い相思相愛だったけれど、成長してしまったが故に子供の頃のように素直に気持ちを伝え合うことが出来なくなってしまう。子供の頃の方が仲良くできて良かったということではなく、お互いがお互いのことを想えるようになったからこそ すれ違ってしまったのだと思うので、愛情としては昔よりもずっと深いのですよね。そう考えると、二人の関係としては後退ではなく見えないけれど前進していたのだと思う。

ただ、愛する人がどんどん若返っていくのに、自分はどんどん年老いていくのは女性としてはツラいなぁと思う。特にデイジーの場合は ダンサーという美しさを象徴するような職業でもあるから余計に。それでも生涯を通してベンジャミンを想い続けていたのは、外見ではなく見えない絆で繋がっていたからだと思う。

メイク技術の素晴らしさ

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もう本当にすごいなぁと思いました。映画がこの設定にしている以上 不自然なメイクだったりすると違和感が気になって感情移入しにくくなってしまうので。
ですが ベンジャミンはストーリーが進むにつれ 本当に微妙~~に若返っていく(少しだけ肌にハリが出ていたり、筋肉が付いたりして)。そしてデイジーや他の登場人物達は少~しずつ老けていく(少しずつ増えるシミとタルミが現実味ありすぎました^^;)。
それでも 老いることに関してはメイクの技術を駆使すればまだ何とかなるにせよ、若返っていくのは難しいのでは?と思っていた。
(子供時代になってしまえば子役が出れば済む話だけど)
だけど見事にベンジャミンが青年になっていてビックリ。デイジーに関しても最初の方は若かったのだけど、本当に若い女性にしか見えなかったし メイクの技術と演技が両方素晴らしかったのだと思います。歩き方とか話し方も研究したんだろうなぁ。

ハチドリの意味とは

映画 ベンジャミン・バトン ネタバレ感想(C)2008 Paramount Pictures Corporation and Warner Bros. Entertainment All Rights Reserved

ベンジャミンを受け入れてくれた船長(アーティスト)の話でハチドリが出てきます。ハチドリは8の字を描くように羽ばたき(毎秒80回も羽ばたく)、その8の字は数学的に言うと「無限大」という意味だと。
ベンジャミンは生まれながらに「長くは生きれない」と言われ、いつ失ってもおかしくない小さな命だったけれど、ベンジャミンが歩んだ人生も可能性に満ちていて 決して不幸なものではなく「無限大」だったように思う。ベンジャミンが自分の不遇な宿命に打ちひしがれたり自暴自棄になっているシーンもなかった。自分の宿命を受け入れて最後まで一生懸命生きていたように思う。

また、ネイティブ・アメリカンの間では、ハチドリは愛と美と幸せのシンボルであるとも言われています。

ハチドリで有名な話といえば「ハチドリのひとしずく」という物語があります。

ハチドリのひとしずく
森が燃えていました森の生き物たちは われさきにと逃げていきました。
でもクリキンディという名のハチドリだけは行ったり来たり口ばしで水のしずくを一滴ずつ運んでは火の上に落としていきます。
動物たちはそれを見て「そんなことをして いったい何になるんだ」と笑います。
クリキンディはこう答えました。
「私は、私にできることをしているだけ」

この物語のメッセージとしては、他人を非難したり、怒りや惜しみや妬みに囚われるのではなく、自分に出来ることを淡々とやっていこう というメッセージです。
あまりに大きな問題や困難に巻き込まれた時、それを考えるだけで気が遠くなってしまったりあきらめや無力感に心を支配されてしまいますが、どんな困難な中にいても私たち一人一人には「出来ること」が必ずある、ということです。

この映画のメッセージでもあるなぁと思います。どんどん若返ってしまうという普通じゃない人生の苦しさを伝えたい訳ではなくて、どんな人生にも出来ることがあり その人にしか経験できない物語があるということを伝えたいのだと思います。

逆回りする時計の意味

映画 ベンジャミン・バトン ネタバレ感想(C)2008 Paramount Pictures Corporation and Warner Bros. Entertainment All Rights Reserved

駅に置かれた記念時計が逆回りし始めますが その時にベンジャミンは生まれました。息子を失って悲しみ暮れていた時計職人が、時を戻すことで息子に蘇って欲しい という願いを込めた時計です。過ぎてしまった「時間」は戻すことはできない…という意味もあると思いますが、ベンジャミンの人生が逆回りしていることに繋がっていると思います。

ハリケーンの意味

映画 ベンジャミン・バトン ネタバレ感想(C)2008 Paramount Pictures Corporation and Warner Bros. Entertainment All Rights Reserved

ベッドにいる老いたデイジーは死期が迫っていました。悲しいことがあった時に雨が降っていると 空も泣いている…と思うように、それと同じような意味合いかな?と思います。デイジーが息を引き取る時、まさにハリケーンが上陸しようとしていたので。
そして嵐の中 窓にハチドリが来ていましたが、普通に考えるとハリケーンの中でハチドリが来るとは思えないので デイジーの幻覚である可能性もあります。
また この映画においてのハチドリは「無限大」や「愛」「幸せ」のシンボルでもあると同時に、ベンジャミンそのものである という意味もあるので、ベンジャミンがデイジーを迎えに来たのかもしれません。このハリケーンによって逆回転していた時計が置かれていた倉庫も浸水し、時計と共にベンジャミンとデイジーの物語が終わったのだと感じました。

まとめ

映画 ベンジャミン・バトン ネタバレ感想(C)2008 Paramount Pictures Corporation and Warner Bros. Entertainment All Rights Reserved

約3時間あるので途中で飽きてしまうかも…と思っていたのですが、最後まで飽きずに観ることが出来ました。3時間って長く感じるけど、一人の一生を描くにはすごく短いですし。
最初の印象と観終わった後の印象が全然違ったのは自分でも意外だったように思う。

最初は人とは違う過酷な宿命を背負ったベンジャミンが 色んな障害を乗り越えていくような物語だと思っていました。もちろん障害も乗り越えていくのですが、そこがメインではなかったのだなぁと。愛する人と同じように歳を重ねられないというのは やっぱり苦しい人生であるのは間違いないのですが…。

どんどん若返ってしまうという 普通ではありえない宿命というのは、とてもファンタジーなのに、不思議とものすごく現実味もあって。
ベンジャミンの人生を振り返ってみると「若返ってしまう」という特異性を除けば、私達と同じようなことを考えたり悩んだりしている 普通の人生なんですよね。
愛する人とすれ違ったり結ばれたりするのも、仕事を頑張ったり 色んな事を経験して悲しかったり楽しかったり美味しかったりするのも 誰もが経験しそうな出来事が多かった(時代背景もあるので 今の時代の人が絶対に経験しないだろうことも勿論ありますが)。

最後は赤ちゃんの状態で デイジーの腕に抱かれながら亡くなるシーンも、誰もが望むような最期だったのではないかなと思う。愛する人に看取ってもらうなんて一番良い最期ではないかと。そのためにはベンジャミンが色んな人に愛を与えたからだし、素敵な人だったからでしょうね。
(人を傷付けてきた人であれば、デイジーだって面倒みなかったと思うので…)
老人と赤ちゃんってものすごい差があるけれど、どちらも人の助けがないと生きていけないし、生まれる時も死ぬ時も最後は一人なのは私達と一緒
そういう意味ではベンジャミンはすごくファンタジーな人でありながら、すごく現実味のある人物だったと思う。

そして、なぜベンジャミンがそんな宿命を背負って生まれてしまったのか…については謎のままでしたが、これは神様にしかわからない、ということで良いのかな…と個人的には思います。
ベンジャミンの場合は若返っていく という特異性のある宿命だったけれど、肌の色、容姿、生まれる国、障害の有無、全て自分では決められません。これも宿命であって  ベンジャミンに限ったことではなく、私達の人生にも同じことが起きているのだと思います

この映画を観てしまうと 人生において中間地点辺り(40代位?)が一番良い時期なのかもしれないなぁと単純に思ってしまいますね^^;
10年後に観たらまた違ったメッセージを受け取るかもしれないと思わせてくれる 良い映画でした。

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