今回は、登山好きとしては興味津々の「岳 -ガク-」という映画を観てみました。
最近、原作の「岳 みんなの山」の漫画を読んで大好きになったので期待値が上がりまくりでした。色んな人のレビューを読んでいると賛否両論あるようですね。
国内や世界の山に詳しい登山家やクライマーから見ると「そんな場面でそんな行動するなんてありえない…」というシーンが多いようで、ツッコミどころ満載の映画のようです。
私は山岳救助隊のことは正直よくわからないし、登山は好きですがクライミングは全く出来ないし、雪山にも行ったことないしで 山が好きといってもこの映画に出てくるような経験をしたことがありません。
なのでツッコミを入れる知識がない分、映画自体は普通に楽しめたと思います。
もちろん素人的にみても「それは…」と思ってしまう部分はありましたけど…^^;
前置きが長くなりそうなので、早速レビューしていきたいと思います!
作品詳細
製作年 | 2011年 |
---|---|
製作国 | 日本 |
上映時間 | 125分 |
監督 | 片山修 |
出演者 | 小栗旬 / (役名)島崎三歩 長澤まさみ / 椎名久美 佐々木蔵之介 / 野田正人 渡部篤郎 / 牧英紀 石田卓也 / 阿久津敏夫 矢柴俊博 / 座間洋平 、他 |
簡単なあらすじ
世界の巨峰を登り歩き山をこよなく愛する島崎三歩(小栗旬)は、山岳救助ボランティアとして登山者の命を守ってきた。春、長野県警山岳救助隊に配属された椎名久美(長澤まさみ)は三歩の指導のもと成長していくが、実際の現場では遭難者を救うことができず自信を失っていた。そんなある日、猛吹雪の冬山で多重遭難が発生し、久美は仲間と共に救助に向かうが……。
シネマトゥデイより
みどころ
人気コミック「岳 みんなの山」を原作に、山岳遭難救助をリアルに描いた山岳ドラマ。高度な山岳技術を持ち、山の恐ろしさを知る主人公には原作を愛読していたという小栗旬がふんし、高所恐怖症にもかかわらず氷壁登りや懸垂下降に挑む。ヒロインの新人救助隊員を、小栗とは『ロボコン』以来約7年ぶりに共演する長澤まさみが演じるほか、佐々木蔵之介、石田卓也、市毛良枝らが脇を固める。標高3,000メートル級の名峰が並び立つ日本アルプスで過酷な雪山ロケを行った映像は圧巻。
シネマトゥデイより
基本的にネタバレを気にせずに書いているので、未見の方でネタバレしたくない方はご注意ください。
美しい山々
出典元:wikipedia
ストーリーももちろん重要なのですが、この映画の一番のみどころは舞台となった北アルプスの美しい山々だと思います。もう これ見れただけでも結構満足してしまいました。
夏の穏やかな山だけでなく、厳しい雪山での撮影はかなり過酷だったようです。いつか登ってみたいけど 安易な気持ちで行くのは危険なので低山で練習してからですね。
映画の冒頭でいきなりクレバス(氷河や雪渓などに形成された深い割れ目)に滑り落ちてしまうシーンはゾッとした。
ものすごい美しい雪山でスススーと静かに落ちてしまう…。山の事故ってみんなこんな風に静かに起こっているんだろうと思うと、誰かに気付いてもらえただけでもラッキーなのだと思います。
山バカな島崎三歩について
出典元:映画.com
三歩を演じるのは小栗旬さんです。原作だともっと山男って感じのイメージでしたが観ていくうちに慣れました。他の人のレビューで「照英さんみたいな感じの方が合ってる」というレビューを読んだのですが、私もそう思います!(笑)
もっと不器用なイメージで熱くてゴツゴツしてる感じ(ゴツゴツって表現で良いのかどうか…)。小栗旬さんだとシュッとしてて都会的な雰囲気がどうしても出ちゃいます。
あくまでも三歩だったらって話ですが^^;
そんな三歩ですが、ボランティアで山岳救助をやっている山のプロです。いつだって明るく元気。私の勝手なイメージだとドラゴンボールの孫悟空みたいな感じです^^;
実際は こんな人いないだろうなぁとは思いますが、誰よりも山を愛しているところとか 救助する際の「よく、頑張った」という台詞はすごく好きです。相手を決して責めないところとかも。山男らしく器が大きいなぁと思う。瀕死の状態で助かった人に対しても「懲りずに また山においでよ」って笑顔で言える人って三歩だけだと思います。
単に明るい山男ってことではなく、沢山の悲しみを経験した上での明るさっていうのがとても好きなところです。
山岳救助隊に配属された 椎名久美
出典元:コミックナタリー
山岳遭難救助隊に配属された警察官です。父親も山岳救助隊でしたが久美が子供の頃に亡くなってしまいます。最初は山で四苦八苦している久美ですが、日々の訓練と経験で成長していきます。この映画では久美の視点でストーリーが進んでいきますが、遭難者をなかなか救えず落ち込む日々…。
自分の目の前で亡くなってしまったら誰だって落ち込みますよね…それは。足を捻ってしまった登山者に対して「そんなスニーカーで登ったら怪我するに決まってるでしょ!山を甘くみないで!」と怒ってしまいますが、その帰り道でうっかり足を踏み外して滑落してしまいます。自力で下山するのは不可能な状態となってしまいました。
これは、登山をしている人なら皆が思うことかもしれないけど、熟練者だとか 完璧な装備をしているとか関係なく、事故は起きてしまう時は起きてしまうものなんだと思います。急に天候が悪化したり、病気になってしまうこともある。誰だってうっかりすることはあるので、遭難者を責めてはいけないなと改めて思う。一番後悔したり反省しているのは遭難している本人なので。
(まぁ、あまりにも軽装で地図も持たずにふざけながら下山しているとかだったら怒られた方が良いと思いますがw)
空のプロフェッショナル 牧英紀
出典元:映画.com
昴レスキュー所属の救助隊員。三歩が山のプロなら 牧さんは空のプロですね。どこでも飛んで行きますが三歩と違って遭難者にメチャクチャ厳しい。事故の再発を防ぐためとはいえちょっと厳しすぎる印象ですが、言ってることは間違ってはいない。
ただ…牧を演じている渡部篤郎さんがですね、常に「ボソボソ…」って感じでささやく感じで台詞を言うので、正直 何を言っているのかわからないシーンが多々ありました(笑)
何度か巻き戻して聞いてみたりしても聞き取れないので、私の耳の問題かも?と不安になるほど…^^; 吹雪だったりヘリの音がうるさかったりするので仕方がないかなとは思いますが、もういっそのこと渡部篤郎さんのシーンだけ字幕つけて欲しいと思ってしまいました(不自然過ぎ…^^;)
三歩の幼馴染 野田正人
出典元:映画.com
三歩の幼馴染であり高校山岳部の同期でもあります。一見クールに見えるけどいつでも冷静に状況を判断する人です。確かにこういう人がリーダーには向いているなと思います。吹雪の中 無謀にも救助に向かおうとする隊員を殴ってましたが、二次被害になってしまう事を考えると正しい判断だと思います。
ラストシーンについて
出典元:映画.com
ある親子が雪山で遭難してしまうが、吹雪によりヘリでの救助が難しい状態となってしまう。なんとか一人(娘)をヘリで救出するも、もう一人(父親)を残したまま飛び去ろうとする昴レスキュー…。そんな中、久美が自ら紐を切り遭難者の元に残ることを決意。
このシーン、正直「ええ?」ってなりました。遭難者を一人だけ置いていくことなんて普通はありえないかな、と(置いていった場合、どう考えても死ぬのは確実なので)。
あとはアレですね…久美が父親を背負ったまま凍り付いているシーン。これはちょっと衝撃でした。あの姿勢のまま固まるっていうのも衝撃ですが、ちゃんと息を吹き返したのもすごミラクルすぎました。
色んなツッコミどころ
出典元:映画.com
調べてみると、日本ではクレバスがそもそもないらしいですね(ちょっとホッとした^^;)。 あとは久美がピッケルで足を切断したりするシーンもちょっと違和感があります。あの形状で足を切るっていうのはなかなか難しいかと思います。
あとは三歩が不死身すぎる点(笑) 雪崩に流されてもピンピンしていますので…。ストーリーとしてはとても好きなんですけど、せめて素人にはわからない程度の違和感であって欲しいとは思ってしまいました。
まとめ
出典元:映画.com
原作を読んでしまうと、どうしても原作の方が良いなぁと思ってしまいます。逆の場合もあるようですが、やはり映画では表現しきれない画が沢山ありすぎて難しかったのかもしれません。(原作を忠実にやろうとしたらもっとグロテスクになりますし)
子供との交流も原作ではもっと感動する場面があったんですが、映画版だと子供にそれほど感情移入できていないせいか イマイチ存在感が微妙でした。
全体的に台詞が聞き取りにくいのもちょっとマイナス点でした。
実際の吹雪の中の撮影だったりして、臨場感や本物っぽさを出すために あえて聞き取りにくくしているのかもしれませんが、BGMなどは割と大きめに流れていたので…。自然のままという雰囲気でいくならいっそBGMとかが無い方が良かったかもなぁと思います。
(そういえば久美の父親のテープもほとんど聞き取れなかったです…^^;)
なんだかんだ言ってますが、結構ドキドキハラハラするシーンも多く、個人的には好きな映画です。全く山に興味がない人が観ても楽しめるストーリーだと思いました。
漫画をまだ読んでない方はコチラ↓
山が好きな人は絶対にハマると思います。