こんにちは オリカ(@orika_note)です。
少し季節外れですが、今回は「ラスト・クリスマス」のネタバレ感想を書いていこうと思います。
普段 あまり恋愛映画は観ないのですが、評判が良かったので少し気になる作品でした。
(恋愛映画は観ないと言いつつ 結構観てますが😅)
一見した雰囲気はラブコメディっぽいです。実際 主人公を演じるエミリア・クラークがキュートで明るいし 相変わらず表情がコロコロ変わって忙しい(眉毛がクリクリしています✨)。
ですが、観ていくうちに ただのラブコメディではないかも?という展開になっていく。
サラッと移民問題や格差社会、家族との確執などの描写が織り込まれていて、想像していたより重いテーマだったように思います。
以下、簡単な作品紹介とネタバレ感想になります。
作品詳細
製作年 | 2019年 |
---|---|
製作国 | アメリカ・イギリス |
上映時間 | 103分 |
監督 | ポール・フェイグ |
脚本 | エマ・トンプソン、ブライオニー・キミングス |
出演者 | ケイト / エミリア・クラーク トム / ヘンリー・ゴールディング サンタ / ミシェル・ヨー アデリア / エマ・トンプソン アディス医師 / レベッカ・ルート マルタ / リディア・レオナルド、他 |
簡単解説
1984年の発売以降、クリスマスの定番ソングとして全世界で愛されている「ワム!」の「ラスト・クリスマス」をモチーフに、「ゲーム・オブ・スローンズ」のエミリア・クラークと「クレイジー・リッチ!」のヘンリー・ゴールディング主演で描いたロマンチックコメディ。ロンドンのクリスマスショップで働くケイト。華やかな店内で妖精エルフのコスチュームに身をまとうケイトは仕事に身が入らず、乱れがちな生活を送っていた。そんなある日、ケイトの前に不思議な青年トム現れる。トムはケイトが抱えるさまざまな問題を見抜き、彼女に答えを導き出してくれた。そんなトムにケイトは心をときめかせるが、2人の距離は一向に縮まることはなかった。やがてケイトはトムの真実を知ることとなるが……。脚本は「いつか晴れた日」でアカデミー脚色賞を受賞し、女優として本作にも出演するエマ・トンプソン。監督は「シンプル・フェイバー」のポール・フェイグ。
映画.comより
簡単なあらすじ
ロンドンのクリスマスショップで働くケイトは、小妖精の格好をしてきらびやかな店内にいても仕事に身が入らず、生活も乱れがち。そんなある日、不思議な好青年トムが突然現れ、彼女の抱えるいくつもの問題を見抜いて、答えに導いてくれる。ケイトは彼にときめくけれど、ふたりの距離は一向に縮まらない。トムを捜し求めつつ自分の心の声に耳を傾けたケイトは、やがて彼の真実を知ることになる……
映画「ラスト・クリスマス」公式HPより
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基本的にネタバレを気にせずに書いているので、未見の方でネタバレしたくない方はご注意ください。
自堕落な生活をしているケイト
ケイトはエリミア・クラークが演じていますが、本当にこういう明るくて自由奔放なイメージがぴったりですよね。
以前このブログでも紹介した「世界一キライなあなたへ」という作品にも出ていました。
コロコロ変わる表情と眉毛によって、ケイトがどんな気持ちなのかがすごくわかりやすいです😅
エルフの格好してクリスマスショップで働いているのもケイトっぽくて良いですね。
(本当は歌手を夢見て働きながらオーディションを受ける日々を送っています)
しかし ケイトに関しては、正直言うと最初はあまり共感できませんでした…💦
どう考えても周りを振り回しすぎです😭
母親が苦手で家に帰りたくないのは仕方ないとしても、泊まらせてもらう友人宅に男を連れ込んだり、大事なペット(熱帯魚?)を死なせてしまったり、友人の夫が大切にしている船の模型を燃やしてしまったり…。そもそもスーツケースを持ち歩いてその日暮らしというのは なかなか自暴自棄な暮らしぶりです。
友人として深くて長い付き合いであれば 多少は目を瞑るのかもしれませんが、普通は絶縁されてもおかしくないと思います😓(実際、見放されたようなものですが…)
まぁそうなってしまったのは 病気になってしまったから…というのもあるので周囲の人も多目に見ているのかな?と思いますが。
でもケイトって妙な愛嬌があるので なぜか憎めない…不思議な魅力があります😓
ホームレス支援のボランティアをしているトム
最初は、ケイトのことが気になり 何度も散歩に行こうと誘うトムです。なかなか謎が多い存在ですね。ただ、悪い人ではなさそう…という印象しかないのだけど、このトムの存在がケイトにとって とても大きな存在になっていく。
ここまでは よくあるラブストーリーだけど 物語がすすんでいくと少しずつ違和感を感じるように。この時代に携帯を持っていない、とか。
(実際は“戸棚にしまったまま”らしいけど、なぜ戸棚から出さないの?と気になる😓)
トムがいるだろうと思われるホームレスの支援施設に行ってもいない。いつどこでトムが現れるか全く分からない。トムという存在が なんだかフワフワしていて掴みどころがないので、だんだん「何者なの?」という気持ちになっていく。
サラッと織り込まれる色々な現実問題
まずケイト自身の問題というと、ケイトは子供の頃はとても美声で 聖歌隊のリードボーカルとして歌声を響かせていて、母親との関係も良好だった。
現在は オーディションを受けてもほぼ相手にされない状態。アルバイトと寝る場所を探すので精一杯。
両親は別居していて、過干渉すぎる母親とは疎遠な状態、姉とも険悪な仲となっている。
物語の中盤では 祖国からイギリスに逃れた移民の現実や、差別されているシーンもあった。(バスの中で差別されていた人にケイトが声をかけていました)
ケイトの姉はLGBTで 自身のパートナーを家族に隠して生活していたり、トムがボランティアをしている支援施設には、沢山のホームレスや身体に障害を持つ人がいる。
明るい雰囲気の映画の中で、これだけの 様々な現実を見せられるとは思っていなかったので 少し驚いてしまうのだけど、暗い雰囲気にならないように 自然と見せてくる感じが 良かったですね。この現実というのは 決して暗いものではなくて ただそこにある事実だなぁと素直に思わせてくれるというか。とてもナチュラル。
問題があるもの(差別や貧困問題など)に関しては改善すべきだし、色々な人が存在しているという事実を 受け入れられる人が増えるといいなぁと思う。私の中にも無意識に潜んでいる差別意識があると思うので、意識しないといけないと改めて思ったのでした。
ケイトに関しては 心臓の病気によって 一度は生死を彷徨っていました。
それによって自分が自分でないような気持ちになったり、自分の存在を否定したくなったりしていたようです。
病気の有無にかかわらず、自分のことが嫌になったり、自分の過去とか置かれている状況を全て捨てたいと思ったりして、“もうどうでもいいや~” というゾーンに入ってしまう時期ってあると思うので、ケイトの気持ちは 少しだけわかります。
(そんなこと思ったことない人もいるかもしれませんが…😅)
少しずつ変わっていくケイト
トムと一緒に過ごすことで あたたかい気持ちを取り戻しつつあるケイトです。
最初は拒絶していた支援施設に通うようになり、歌を歌ってそこで得たお金を寄付したり、一緒に歌う仲間を増やすべくオーディションをしたり。
自分のミスで強盗に襲われてしまったクリスマスショップのオーナー(サンタ)のキューピッドとして動いたり、迷惑をかけた友人にちゃんと謝罪したり…
今までのケイトであれば絶対にやらなかったことを実行していくのだけど、この時のケイトは本当に幸せそうでした。
トムが言っていた言葉の一つに
「日々の小さな行いが その人の人格を形成していく」
という言葉がありました。小さな行いによってケイト自身が少しずつ変化していくのは 見ていてすごく 微笑ましくて良かった。
まとめ
ラストの展開としては、『ケイトが心臓移植を受けたドナーは 実はトムだった』という衝撃の事実を知ることになるのですが、これに関しては…うん、途中からそうなんじゃないかなぁ~と 想像できていたので あまり驚きがなかったです😅
正直 このネタバラシは物語の途中でされるものだと思っていました。
幽霊であり ドナーでもあるトムと、現実世界にいるケイトが 絶対に成就しない恋愛をどうやって乗り越えるのか…という話なのだと勝手に想像していたので、ネタバラシしたあと ハッピーエンドっぽい感じで終了してしまったのがなんとなく 物足りなかったです。
いや!このラストでも全然好きなんですけどね…。なんか普通すぎるというか、思い出せないけど色んな作品でよく観る展開だぞ〜っという気持ちになってしまうというか。
ただ 色々調べてみると、ケイトを演じている“エミリア・クラーク”自身も2011年にくも膜下出血によって言語障害の後遺症が残るほど危険な状態だったそうで、この映画のケイトと同じような状況から復活しているんですよね。
そういうのを知ると『へぇ〜そうなんだ!』ってちょっと嬉しくなります。
そして、この映画に登場している 名曲「Last Christmas」のワム!のメンバー“ジョージ・マイケル”は12月25日のクリスマスに亡くなっているそうで、
まるで この映画のトムと同じような境遇です。
そもそも歌詞の“I gave you my heart”という直球のメッセージがすごい。
ケイトに心臓を提供したトムにぴったり…。
そういう映画の外側の話を知ることで 作品の重みが変わってくるなぁと感じました。
トムがよくケイトに伝えていた印象的な言葉として
「上を見て」というものがありますが、上というのは 単純に上を見るということだけではなくて、自分がいつも見ている景色を違う角度で見てみようってことだと思います。
この映画の中で ケイト自身の環境は何も変わっていません。
念願の歌手になれたわけでもないし、お金持ちになれたわけでもなくて、やっと心から好きになったトムとの恋愛も成就していません。
それでもケイトがラストであんなにハッピーになれたのは、ケイト自身が見ている視点を変えることができたから。視野が広がるというのは 可能性が広がるということだなぁと思う。
ケイトの視点が変わったことで、周りの人達も変化していく。
いつもと同じ場所にいても、視点を変えると色々な発見があったり小さな幸せが隠れているってことですね。
トムは不幸な事故で命を失いましたが、ケイトは生きています。
これから色んな経験ができる。トムの心臓とケイトの人生を無駄にしないために、もっと毎日を輝かせてほしい というトムの願いが、ケイトに伝わったのかなぁと思います。
環境によって人が変わっていくのも 紛れもない事実だけど、その環境は自分自身で作っている側面もあるわけで、切ないけれど幸せなラストだったと思います。
ケイトはこれからどんどん幸せを見つけられる女性になるでしょうね😌
クリスマスに映画館で観たかったなぁと思う作品でした。
↓エミリア・クラークが出演している関連作品です↓
この映画も とても明るいのに“死”をテーマにしている切ないラブストーリーです。
まだ観ていない方は前半のあらすじだけでもチェックしてみてくださいね☺️
(後半はネタバレ感想になるので注意)
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