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映画「ファイト・クラブ」ネタバレ感想

映画「ファイト・クラブ」ネタバレ感想

前回ベンジャミン・バトンを観た時に、他にもブラッド・ピットの作品を観てみようと探していたら、同じデビッド・フィンチャー監督の本作を見つけたので、観てみることにしました。
以前からこの映画の評価が良いことは知っていましたが、あまり共感できる内容ではないかもなぁと後回しにしていた作品です。
なんとなく男同士が殴り合って 強さを競うような映画だと思っていて、男のロマンとか生き様を見せつけてくるような映画だと思っていました。
(暴力とか殴り合いによって男の友情が芽生えて…みたいな)

観終わった後、想像とは全く違う映画で驚きました。もちろん殴り合いや暴力シーンは沢山出てきます、ファイト・クラブですから…^^;
でもこの映画は単なる暴力的な映画ということではなくて、自分って一体なんなんだろう とか、人生において大事なものはなにか…を考えさせられるような作品でした。
色んな意味で裏切られるし、ラストシーンも観る人によって色んな解釈があって良かったと思います。

 

作品詳細

製作年1999年
製作国アメリカ
上映時間139分
監督デビッド・フィンチャー
脚本ジム・ウールス
出演者ナレーター(主人公・「僕」) / エドワード・ノートン
タイラー・ダーデン / ブラッド・ピット
マーラ・シンガー / ヘレナ・ボナム=カーター
ロバート・ポールセン(ボブ) / ミート・ローフ、他

簡単解説

心の中に問題を抱えるエグゼクティブ青年ジャックはタイラーと名乗る男と知り合う。ふとしたことからタイラーとジャックが殴り合いを始めると、そこには多くの見物人が。その後、タイラーは酒場の地下でファイト・クラブなる拳闘の秘密集会を仕切ることに。たくさんの男たちがスリルを求めて集まるようになるが、やがてそのクラブは恐るべきテロ集団へと変貌していく……。「セブン」のコンビ、ブラピとフィンチャー監督が再び組んだ衝撃作。
映画.comより

簡単なあらすじ

プロジェクトメイヘムというテログループが爆弾を仕掛けたビルの最上階で、ぼくはタイラーの銃を咥えている。タイラーは爆発までの時間を計りながら、ぼくに計画がここまで滞りなく進んでいることを自慢した。一方、ぼくは全ての原因である女性、マーラ・シンガーのことを考えていた。
睾丸ガン患者の互助グループで、ぼくはホルモンバランスが崩れて乳房の生えたボブに抱かれていた。ぼくとボブはまだ互いに男のままだと慰め合う。ボブには睾丸がなかった。しかし、ぼくにはまだ睾丸がある。ぼくが互助グループを訪ねたのは、別の理由からだった。
半年間、ぼくは不眠症に悩まされていた。安定した仕事を持ち、部屋には足りないものがないくらい、ぼくは満たされていたのに。……
MIHOシネマより

Amazon Primeで「ファイト・クラブ」を観る

基本的にネタバレを気にせずに書いているので、未見の方でネタバレしたくない方はご注意ください。

エドワード・ノートン演じる主人公

映画「ファイト・クラブ」ネタバレ感想
出典:Amazon Prime Video Fight Club (字幕版)

自動車(事故車)の保険査定の仕事をしている主人公。ありきたりな日々に嫌気が差してはいても 生活を変化させるほどの勇気もなく、ただ悶々とした時間を過ごしていた。唯一の楽しみは高級な家具を揃えることだったが 心が満たされることはなく 不眠症になってしまう
金銭的には余裕があるようなので そこは恵まれているとはいえ、現代のストレス社会で生きる私達と似たような状況ですね。不眠症になってしまい精神科に行きますが薬は処方してもらえず…。これはちょっとありえないような…って感じがしますけど(ここまで不眠が長引生きていれば何かしら処方されそうなものですが…)。20年前の映画なので時代背景もあるのかもしれません。
ともかく本作の役柄とエドワード・ノートンがピッタリだなぁと思いました。少し頼りない雰囲気なのに眼光が鋭かったり。弱さやワイルドさを違和感なく演じていて個人的にはすごく好きです。

自助グループで出会ったマーラ・シンガー

映画「ファイト・クラブ」ネタバレ感想
出典:Amazon Prime Video Fight Club (字幕版)

とにかく全く眠れない、ということで医師に勧められた自助グループに顔を出すようになります(しかも色んな自助グループをハシゴする)。彼らの前では素直に弱さを吐き出し 心から泣くことができる。それによって眠れるようになったのですが、そんな時に出会ったのが「マーラ・シンガー」という女性でした。マーラのことを「腫瘍のような女」と呼び とても嫌っていました。マーラは老人の給食(弁当)を盗んだり、コインランドリーの服を盗んで売ったりしながら何とか食いつないでいる状態。そんなマーラも自助グループをハシゴしていました。
仕事があって高級マンションに暮らし 高級家具に囲まれている主人公とは正反対のマーラですが、生きることに対して無力感を募らせている点で 2人の境遇はどこか似ているのでしょう(普通は自助グループのハシゴとかしないし…)。よく 好きの反対は嫌いではなく「無関心」だと言われますが、彼にとってマーラはまさに腫瘍のような存在で とても嫌っていますが、それだけ彼女のことが気になる存在だとも言えます。

理想的な男、タイラー・ダーデン

映画「ファイト・クラブ」ネタバレ感想
出典:Amazon Prime Video Fight Club (字幕版)

出張中の飛行機で出会ったタイラー・ダーデン。軟弱な自分と違って 自信満々で筋肉質で容姿も華やか。自分とは正反対のタイラーの生き方に惹かれていく主人公です。私はタイラーに関しては正直 全く共感できないなぁって思いながらずっと見てました。恐らく男性の方が共感できるのかな?と思います。
色々無茶苦茶やっているのは見てるだけでストレスでした^^; 男のロマンというやつなのかもしれませんね。しかし スープの中にお〇っこするとか ただのバイトテロじゃないか!と思っちゃいますけど…。(バイトテロにしてもやり過ぎ…汗)
ただ、やってることが破天荒ってだけで タイラーが言っていることは正しいとも思います

タイラーの名言集
「お前は物に支配されている」
「殺人、犯罪、貧困、誰も気にしない。それよりアイドル雑誌にマルチ・チャンネルTV、デザイナー下着、毛生え薬、インポ薬、ダイエット食品・・・・何がガーデニングだ!タイタニックと海に沈めばいいんだ!」
「なんでもできる自由が手に入るのは、すべてを失ってからだ。」
「仕事の中身でお前は決まらない。預金残高とも関係ない。持ってる車も関係ない。財布の中身も関係ない。クソみたいなファッションも関係ない。」
「痛みがなく、犠牲もなければ、何も得られない。」
「いつか必ず死ぬって事を恐れず心にたたき込め!すべてを失って真の自由を得る」

確かにそうだなぁと思ってしまう名言ばかりですね。私達は普段なるべく痛みを避けて通ります。歯医者で治療する時も麻酔を打ってもらうし、日常生活で腹が立つことがあっても何となく我慢したりして なるべく平和に収めようとするし、頑張って仕事してお金を稼いで 自分の好きなものを買ったり食べたりすることが一番幸せを感じる近道だったりします。でもずーっとそんな風に暮らしていると 多分この映画の主人公のように生きている実感」が無くなっていくんだろうなぁと思う。
比べることではないけれど 戦争を経験している人は毎日安心して暮らせるだけで、お腹いっぱい食べれるだけでも奇跡的な事だと思うそうですが、やはり「死」や「破壊」と直面しないと「生きる」ことを実感するのは難しいのだろうと思う。

ファイト・クラブについて

映画「ファイト・クラブ」ネタバレ感想
出典:Amazon Prime Video Fight Club (字幕版)

タイラーが主人公に対して「俺を殴ってくれ」と言ったことがきっかけで、殴り合う(破壊する)ことで生きる実感を得るようになり どんどん自信を取り戻していく主人公です(生傷が絶えない…)。そして どんどん参加者が増えていきます。
最初の頃は男達が集まって ちょっとヤンチャをしてるだけだったファイトクラブですが、タイラーの家で共同生活を送るようになったり だんだん反社会的な方向へ進んでいきます
あぁ…こんな風にテロ組織やカルト宗教は生まれるんだな…と思ってしまった。タイラーの言っていることや思想は間違っていないけれど、やっていることが全然正しくないのですよね…。爆弾を作って爆破しようとしている ただの犯罪集団と化してしまったので。主人公もタイラーのやり方に疑問を持ち始め戸惑うようになりますが、ここまでくると誰にも止められない。タイラーの信者たちはタイラーのやっていることに何の疑問も持たず言いなりになっている(というかタイラーがいなくても勝手にタイラーの思想通りに動いている…)。
完全にテロ組織化したファイトクラブですが、実は全米中でファイトクラブの拠点を作っていたのだからスゴイ。

色々な伏線と解説

映画「ファイト・クラブ」ネタバレ感想
出典:Amazon Prime Video Fight Club (字幕版)

この映画を観ていると「あれ?」というシーンが結構ありました。
それらの解説などをしてみたいと思います。

主人公の「僕」について

映画の中で主人公「僕」の名前が明らかになるシーンはありません。職場でもファイトクラブ内でも名前を呼ばれるようなシーンはなく、ずっと主人公のナレーションを元に進行していくので違和感がありませんでしたが、実は主人公はタイラー・ダーデンでした。
タイラー・ダーデンは主人公が作り出した理想的な男性像
であり、この映画の主人公である「僕」と同一人物でした。ジキルとハイドのように別人格があったということになります。(自分で自分を殴っていたと思うと怖いですね…)

タイラーと出会ったシーン

飛行機の中で たまたま隣に居合わせたタイラーですが、主人公と全く同じ鞄でした。
同一人物なので同じ鞄を持っていても不思議ではありません。

色んな場面にサブリミナル効果が使われている

何の前情報もなしに観ていましたが、色んな場面で一瞬タイラーが映っていることに気付きました。タイラーは主人公が作り出している人物なので 実在する人物でなく虚構であるということが 序盤から暗示されていたということになります。
ラストには男性器がハッキリと映るので少しビックリしますが、これはタイラーが夜中に映画館で映写技師として働いていて「ファミリー映画に、ほんの一瞬ポルノ映像を入れるのがタイラーの密かな楽しみ」という説明から、タイラーのイタズラであることがわかります。
(昼も働き、夜中もタイラーとして働いている訳ですから、そりゃ睡眠不足にもなりますよね…)
色んなところにタイラーが一瞬映るので この映画を観る時はタイラーを探したくなります(笑)

タイラーによる独白シーン

タイラーの名言集でも紹介しましたが、タイラーが「仕事の中身でお前は決まらない。預金残高とも関係ない。持ってる車も関係ない。財布の中身も関係ない。クソみたいなファッションも関係ない。」というセリフをタイラーが独白するシーンがあります。そのシーンの最後に画面の左右にフィルムの切れ端が見えることから、タイラーが虚構であることがわかります。

全米中にファイトクラブがあるのはなぜ?

主人公は自動車(事故車)の保険査定の仕事をしていて 年中出張していたことから 色んな場所でファイトクラブの拠点を作っていたことがわかります。

解釈が分かれるラストシーン

映画「ファイト・クラブ」ネタバレ感想
出典:Amazon Prime Video Fight Club (字幕版)

実は主人公の「僕」とタイラー・ダーデンは同一人物であることが判明し、少しずつタイラーに人格を奪われて制御できなくなってしまった「僕」は、タイラー(自分自身)と向き合わなくてはいけなくなります。
そこで自分の顎を打ち抜き、タイラーを消すことに成功しますが 自分自身が仕掛けた爆弾によって次々とビルが崩壊してしまいました。
これは幻想なのか?とも思いましたが、この映画の中での様々な出来事を考えると このシーンだけが幻想ということはありえないような気もします…。(ちょっと非現実的過ぎますけど、そもそもファイトクラブ自体が非現実的なので)

色んな解釈がありますが、私は「僕」とマーラは亡くなったのだと思いました。マーラと手を繋いで崩壊していくビルを眺めているシーンの最後の方で画面の乱れがあり、「僕」とマーラがいるビルも崩壊したのだと思います。(もしかしたら顎を銃で撃ちぬいた時点で、すでに死んでしまった可能性も?あります…この辺の解釈が難しい)

「出会いのタイミングが悪かった」
「これからはすべてよくなる」

ビル群(資本主義の象徴)の破壊自分自身の「死」の後は、新たに何かが再生されるという意味で「これからはすべて良くなる」という台詞が出たのかもしれません。

まとめ

映画「ファイト・クラブ」ネタバレ感想
出典:Amazon Prime Video Fight Club (字幕版)

一度観ただけでは理解しきれない映画だと思いました。とても疲れた…^^;
暴力を肯定しているようにも見えますが、この映画はあくまでも自分自身をブチ壊せ!というメッセージであって 他者に向けた暴力に関しては否定しているように思います。
(自分自身をブチ壊すといっても 肉体面だけでなく、固定観念など内面の部分も含め)
メンバーのエンジェルフェイスの顔を滅多打ちにするシーンでは、「僕」自身も今までファイトクラブで感じていたような爽快感はなく、むしろ気分が悪そうでした。
他のメンバーも顔をしかめ(私もこのシーンは胸糞が悪かった…)、タイラーも主人公に対して「サイコボーイ」と言い、非力の相手に対して ただ打ちのめすような暴力に関しては否定しているように受け取れました。

ファイトクラブは あくまでも自分自身を変えるためには「自分の殻」を壊すことでしか新たな世界は生まれない という考え方です。
資本主義社会に関しても もう救いようがないから無くなってしまえば良いってことなのだと感じた。確かに破壊と再生によって 新たな世界が生まれることは理解できるけど、犯罪となると「う〜ん、やっぱりそれはダメだよなぁ」と思ってしまう。
(私は結局 この現代に適応してしまっている凡人だからかもしれません…^^;)

目を背けたくなるような暴力シーンもありますが、観て良かったと思える映画でした。

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