もう完全に油断してました。油断というか舐めてました…ごめんなさい。
どうせ少し気の強い綺麗な女の子が、ワガママ言ったり甘えたりしながら男を振り回すけど 本当は寂しがり屋で放っておけないタイプなんだろうなぁ…
そんで男はそんな彼女の本当の姿を見抜いていて、いつでも優しく見守っていて。
で、やっとお互いの気持ちに気付いた時には事故とか病気でどっちかが死んじゃうんでしょ?韓国映画のいつものあのパターンでしょ?って勝手に思ってました。タイトルからしても「悲しい話」なのはわかりきっていたし 悲しい出来事が起きるのは明白なので。
でも今回は私の想像と違いました。(想像通りの部分の方も多いんですけどね^^;)
観終わった後
「え…ウソでしょ…なにこれ、、悲しい…なんて悲しいんだ…。」
って素直に思ってしまった。監督の思うツボですね(笑) とにかくベタなお涙頂戴ではもう泣かないぞって思っていたのに、気付いたら鼻水が出るほど泣いてしまいました。
作品詳細
製作年 | 2009年 |
---|---|
製作国 | 韓国 |
上映時間 | 105分 |
監督・脚本 | ウォン・テヨン |
出演者 | クォン・サンウ イ・ボヨン イ・ボムス チョン・エヨン チョン・ジュノ |
簡単なあらすじ
親に捨てられたラジオ・ディレクターのケイ(クォン・サンウ)と、交通事故で家族を失った作詞家のクリーム(イ・ボヨン)は、時に家族、友人、恋人のようにお互いの空白を埋めながら奇妙な同居生活をしている。ケイはクリームを愛していたが、告白することができないでいた。病魔に侵されたケイの余命は200日余しかなかったのだ。自分が死んでしまったらひとり残されてしまうクリームのことを考え、ケイはクリームを一生守ってくれる男性を探すことにする。ケイが白羽の矢を立てたのは、ジュンファン(イ・ボムス)という聡明で快活な歯科医の男だった。ジュンファンはクリームを一目で気に入り、フィアンセとの婚約も破棄してしまう。クリームとジュンファンの交際は順調に進み、やがて二人は結婚することになる。しかし、それはそれぞれが抱える悲しみよりももっと悲しい物語の始まりであった……。
Movie Walkerより
基本的にネタバレを気にせずに書いているので、未見の方でネタバレしたくない方はご注意ください。
親に捨てられ孤児だったケイ
出典元:Amazonプライム・ビデオより
ラジオディレクターのケイ(クォン・サンウ)は親に捨てられた孤児でした。父親が亡くなり母親がケイに大金を渡して去ってしまったのですが 普通に酷すぎる…大金を渡しただけマシかもしれないけど。この辺の描写はボンヤリしているのでツッコミどころはありつつもスルーして観ていきます。
そんな不幸な生い立ちのケイですが、父親と同じようにガンになってしまい、もう手の施しようがない状態。ここで「そうか、やっぱり病気で亡くなるのか…」と悲しい結末であることと、いつものパターンだなって思っていました(失礼過ぎますね^^;)
事故で家族を失ったクリーム
出典元:Amazonプライム・ビデオより
そしてクリーム(イ・ボヨン)の両親と妹も事故で亡くなっていました。ケイとクリームはお互い孤独な人生を歩いてきたからこそ お互い惹かれ合ったのだと思います。ケイはクリームに一目惚れしてますが、クリームの方は終盤で明らかになった通り ケイが母親に捨てられたことを知った上でケイに近付いてますよね。
お互いの趣味や嗜好も似ていたことから気も合い、家族だったり 友達だったり 恋人だったり…そんな不思議な関係の同棲生活が始まります。
クリームは案の定(という言い方も良くないけど)気が強くて何でもズバズバ言うタイプで、それでいて甘えん坊ですね。ケイに甘えたりちょっかい出したりしながら振り回している感じ。だけどケイはそれを受け入れて いつも優しいんです…本当にケイが優しいんですよ!何やっても怒らないし御飯も作ってくれるんです!もっと大事にしてあげて欲しいと思いつつ、やっぱり観ていくうちにクリームの無邪気な感じも普通に可愛く見えてくるので不思議。というかイ・ボヨンが可愛いのでどうしたって許すしかないです(笑)
命の期限が迫っているケイがクリームのために頑張る
そんなケイですがガンが進行し、命の期限が迫っていました。愛するクリームのために何をしてあげるべきか…ケイなりに一生懸命考えた結果、クリームには良い人と結婚して幸せになって欲しい、という結論に至りました。(何故?)
本当はクリームを他の男に取られるなんて嫌だし愛してると言いたいけど 余命が短いから自分ではクリームを幸せに出来ないから…。
もうね…そんなことないのに〜っ!ってずっとモヤモヤしてしまった。同棲する前にクリームがケイにキスをするシーンがあったし、家族や友達の様でありながら時には恋人同士だったと言っているシーンもあったし、相思相愛なのはお互いわかりそうなものなのに…何故?…と。正直に病気のことと自分の気持ちを打ち明けて、残りの人生をクリームと幸せに暮らす選択をして欲しかった。その方がケイがこの世を去った後も、クリームだって思い残すことなく前を向けたかもしれない。
ケイはガンであることを隠しながら、クリームを幸せにしてくれそうな良い人(歯科医)と結婚させようと奮闘します。歯科医のことを色々詮索しているシーンはちょっとやり過ぎなのでは…と思ってしまったけど 愛する人のために盲目になってるので仕方がない。
ケイの思惑通り、クリームはその歯科医を愛し初めます。が、歯科医には婚約者がいました。今度はこの婚約者を調べまくるケイです。(ケイの周りの人が探偵並なのですよ…)
調べた結果、この婚約者は男遊びが激しいカメラマンでした。結婚には不向きということでケイは歯科医と婚約を解消して欲しいとお願いします。自分の余命が短いこと、愛する人を幸せにするために歯科医と結婚させたい事を正直に話します。自分がこの世から去ったあと、3年間 花を送って欲しいということもお願いします。(3年間というのは結構重たい依頼だと思いますが…)
婚約者は条件付きで婚約を破談に。ケイを撮影することと、死ぬ時は私の傍で死んで欲しいという条件でした。要するにケイのことを好きになってしまったということでしょう。
歯科医は良い人だった
出典元:Amazonプライム・ビデオより
この映画で可哀相だったのはこの歯科医ですよね。叩いてもホコリが出ないほどの良い人であり、黒い噂もなく家柄も収入も良く、容姿も性格も良い(むしろ完璧すぎるのが欠点なのかな?)。
ただ、ケイに対して「これからは彼女は僕のものなのでこれからは尽くさないで下さい」って言ってたのはちょっと嫌な感じでしたが。
普通に日々を過ごしていただけなのに、いきなり目をつけられて色々詮索され、婚約を解消されたり、愛した人には利用された上で去られてしまう…。完全に弄ばれた感じが否めません。彼の視点からしても「悲しい物語」だったと思います。しかし、どんな流れで元婚約者と婚約したんだろう…。親による縁談だったのかな?
普通に悲しい物語です
ケイの思惑通り、歯科医とクリームは結婚することになりウエディングドレスを試着することに。この辺りから普通にただただケイが耐える描写ですね。ガンと闘いながらこんなことも耐えなきゃいけないんてツラすぎる…。
結婚式でバージンロードを歩いてる時、私 すでに普通に泣いてました…。ここまではいつものパターンであるにも関わらず、です。手を離し、歯科医にクリームを託す時に クリームの手を軽くトントンとたたくシーンがありますが、ここで更に泣きました…。言葉がなくても「幸せになるんだよ」って聞こえてくるシーンですね。普通に悲しい物語だなって思います。もうここでラストでも良かった。いつも通りの悲しい韓国映画って感じで普通に成立しますので…
ケイが去って時計が巻き戻る…
ケイがこの世から去ったあと、カメラマンのスタジオに3つ目の贈り物が飾られています。ということはケイが亡くなってから3年が過ぎたということですが、ここで
「あれ?クリームに贈り物は届いてないのかな?」って思いますよね。受け取りを拒否している?冒頭で行方不明って言ってたような…一体何があったのか…色々考えを巡らせました。
この辺りからラストまでの約20分間、ビックリしたし普通に結構泣きました。一人で観てて良かった…もし人がいたら引くくらい泣いたので(笑)
実はクリームも本当はケイのことを愛していました。ケイの病気のことも全部知っていた。
ここからクリーム視点の回想シーンが始まるんですけど、こんなの嘘でしょってくらい悲しいんですよ。
家族が乗っている車にケイも乗っていて出発してしまうシーン、クリームが「行かないで」と泣きながら追いかけるんですが、あんなん観せられたら泣くでしょ…。
ケイの望みが「クリームが幸せな結婚をすること」と聞いて、自分の気持ちを封印して歯科医に近付き 幸せそうなフリをしていました。全てケイの望みを叶えるための演技だったということです。
クリームにとってはウエディングドレスを試着している時が1番幸せだったかもしれないなぁと思います。バージンロードを歩いている時も心の中ではケイと結婚したのだと思う。
…しんどい…
しかもクリームはケイの後を追って自殺してしまいます。
歯科医が写真を飾ってあげていましたね…優しいけどそれはそれで悲しいだろうな…。
まとめ
出典元:Amazonプライム・ビデオより
なんか本当に悲しい物語だったなと思います。色んな悲しいが詰まっている。
孤児だったり不幸な生い立ちの悲しさ。ガンで生きれない悲しさ。愛する人と結ばれない悲しさ。
観終わった後のあの時こうしてれば良かったのに…とか、本人達ではどうすることも出来ない不幸な宿命みたいなものが「ロミオとジュリエット」を思わせる悲しさでした。
いや、本当はツッコミどころもそれなりに沢山あります。
そもそも冒頭とエンディングに出てくる歌手とか要らないのではって思ったり…その歌手が「こんな安っぽい曲歌わないよ〜」からのケイの話を聞きに行くまでがちょっと強引過ぎるし、ケイとクリームの学生時代が学生には見えないし、同棲生活が始まるのも急だし…。クォン・サンウが服脱いだら筋肉ムキムキっぽくて末期癌患者に見えないとか、色々ツッコミどころはあるんです。あるんですけど、そんなのがどうでも良くなるくらいに普通に悲しい!って気持ちが上回ってしまいました。泣くっていうか号泣しました(涙腺が元々緩いのもある)。
ただ、見る人を選ぶかもしれないな とも思います。
ツッコミどころがスルーできず冷めてしまったり、ラスト20分までが割といつものパターンなので退屈してしまったり 集中して見れなかったりするとポカーンとなる可能性もありそうですね。
あとはアレです。どうせ死ぬ運命なら正直に生きたい!と強く思いました。
相手のことを愛しているからこそ正直に泣いたり笑ったりしながら、寿命がくるその日まで一緒に生きたい、と。
2回目はまた別の見方が出来そうなので、機会があればまた観てみようと思います。