なんとなくドロドロしてて鬱っぽくなりそうな映画が観たくて 鑑賞してみました。(定期的にそういう気分の時があります・笑)
冷酷でサイコパスなテスと、天真爛漫?なポクスン。お互い住んでる世界が違い過ぎるのにひょんなことから不運にも出会ってしまい、悲劇に繋がる…。
観終わったあと しばらく「んんん???」となってしまった…。
詳しくは後半のネタバレ感想に書くけれど、とにかく世界観がチグハグというか統一されていないので観ていて感情移入がしにくいのです…。
テーマとしては興味をそそるし 絶対に面白くなりそうなのに、少し勿体ないな、と感じました。
暴力シーンは迫力があるし、映像も綺麗なのでなおさら。
以下、あらすじとネタバレ感想です。
作品詳細
製作年 | 2014年 |
---|---|
製作国 | 韓国 |
上映時間 | 113分 |
監督・脚本 | ファン・イノ |
出演者 | テス / イ・ミンギ ボクスン / キム・ゴウン イクサン / キム・ルェハ、他 |
簡単解説
「恋は命がけ」のファン・インホ監督が、冷酷な殺人犯と妹を奪われた女性の果てしなき戦いを描いたサスペンススリラー。露天商として日銭を稼ぎながら妹と2人きりで暮らすポクスンは、怒らせると手がつけられないことから、町内では「狂った女」と呼ばれていた。ある日、殺人犯テスが自らの秘密を守るため、ポクスンの妹を殺害してしまう。復讐を誓ったポクスンは1本の刃物を手に立ちあがるが、テスもまた殺人を終わらせるため、執拗にポクスンを追う。「恋愛の温度」「恋は命がけ」といったラブコメディ作品で人気を集めるイ・ミンギが、これまでのイメージを覆す殺人鬼役に挑戦。「ウンギョ 青い蜜」の新人女優キム・ゴウンがヒロイン役を熱演。2015年1~2月にヒューマントラストシネマ渋谷で開催の「未体験ゾーンの映画たち 2015」上映作品。
映画.comより
簡単なあらすじ
亡くなった祖母から引き継いだ、市場の八百屋で稼いでいるポクスン。ちょっと頭は弱いが、いざという時の行動力は凄まじい。市場の場所を巡って男と喧嘩して傷を作ったり、やや無鉄砲な性格。正反対にしっかりした高校生の妹・ウンジョンがおり姉妹で暮らしていた。
そんな時、とある会社の社長が工場の女性職員を解雇しようとしていた。すると、女性は不当だと訴え他の工員を巻き込んでデモを起こした。社長は彼女を呼び出して、暴行する。しかし、女性はその現場を携帯に収めていた……
MIHOシネマより
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基本的にネタバレを気にせずに書いているので、未見の方でネタバレしたくない方はご注意ください。
「その怪物」の感想
テーマとしては冷酷な殺人鬼ってことなので、ちょっと…いや、かなり変わっているポクスンの相手としては強すぎるし、絶対勝ち目がない。
なので、どんな風にストーリーが進んでいくのか少し楽しみにしていました。
無邪気で「悪」とは正反対にいるポクスンは、もしかするとサイコパスより強いのかも…
と思ってしまうし、そうであって欲しいなぁという願望もありました。
ですが、これは、これは、、正直、なんか違ーう!と思ってしまった。
テスはサイコパスなのか?
まず冷酷でサイコパスという位置づけのテスですが、本当にサイコパスなのかな?とも思ってしまう。生い立ちを考えると 実の親から「変な子」ということで捨てられてます。
(義理の母親の話だと、当時から狂暴だったり命を粗末にするような子供だったのかな?)
現在の家族に引き取られた後、虐待されていた兄のために父親を躊躇なく殺していますが、子供の頃の回想シーンだと義兄と一緒に遊びたくて殺していますし、義兄の罪を被って母親から厳しい体罰を受けたりもしているので、先天性のサイコパスというよりは、生い立ちや 劣悪な環境によってこうなってしまった…と考える方が自然な気がします。なんか世の中に対して憎しみを持っているように感じたので…。
(反社会性パーソナリティ障害とかの方が近い気がしました)
籍を抜いた後 疎遠になっていたり、都合の良い時だけ(利用する時だけ) いいように使おうとする義兄も相当悪いなぁと思ってしまった。
(約束の金を持ち逃げするし…何度もテスを葬ろうとするし…そりゃ反撃されますよね…)
いずれにしても やろうと思えばいつだってすぐに殺せるはずの義兄と義母をずっと生かしていたのは 最後まで信じようとしていたのかなぁと思ってしまった。
愛されてなくても唯一の家族なので…。
あと 義兄と義母を殺してるシーンのテスの顔が怖すぎて怖すぎて夢に出そうです。
あんな目つき、常人にはできない。怖かった。
(韓国映画によく出てくる牛骨で殴打するシーンは相変わらず怖すぎる…)
狂った女と言われている ポクスン
う~~ん(笑)
ちょっと癖が強すぎて悪目立ちしているように私は感じました。
孤独で謎の陶芸家(?)で殺人鬼であるテスの真逆のキャラが必要だったのかもしれませんし、その2人の対比を見せたかった可能性もありますけど…。
ポクスン、、、よくそれで今まで生きてこれたなぁと思うし、よくそれで妹の面倒をみてこれたなぁと思ってしまうけど、多分 妹が姉の面倒をみていたのか…と勝手に納得(笑)
もう、ツッコミどころがあり過ぎて、どこからどう突っ込んでいいのかわからないんですが、とりあえず 泣きすぎですよね…^^;
小学生低学年レベルの泣き方を延々と見せられて、不安でしかない。
テスと戦わなきゃいけないのにギャンギャン泣かれてツライ…。
10歳の天才子役っぽいキェ・ナリと同じくらいの精神年齢です。
冒頭で妹が殺されてしまった時もちゃんと警察に伝えられず、本気で取り合ってもらえないとか(劇中の韓国の警察なので ちゃんと伝えても捜査してもらえない可能性もありますが…笑)
ナリに枕?を持たせて包丁で刺す訓練をしたり(危ないから見ていて怖かった)
タクシーの運転手に簡単にボったくられたり、歩きたくないお腹減ったってダダこねたり…
一番ツッコミたい部分としては、実の妹のこと、忘れてませんか?ってこと。
ここの軸がぶれてしまうと、全く感情移入できないのです。
実際、途中から一切 妹の描写は出てきませんし、エンドロールの感じからしてもすっかり忘れちゃったように見えて、一体 なんだったんだ…って気持ちになってしまいました。
まとめ
全体的に面白いテーマだし ドキドキしながら観ていたりもしたのですが、後半 どんどん失速していった感じがします。
何も解決していないのに なんかハッピーエンドっぽく終わってしまっているのが、本当に納得いかないし「一体 なんだったんだ…」って気持ちになる(2回目・笑)
このシーン、要りますか?っていうのが多かったし、なんか辻褄合わないなぁ~納得できないなぁってシーンが多すぎました(笑)
そもそも解雇?されそうだった女性がデモを起こして、その社長に暴行されたのに、社長はのうのうと生きている訳ですよね…(証拠の携帯も無事に回収してます)。
そもそもの原因なのに 何の罰も受けていない…むむむ…。
冒頭でお店の客(ギャハハと笑っていた男女)を殺し、ポクスンの妹を殺したテスですが、その件に関しては何もなかったかのように触れられていないのもなんだか…う~ん。
犠牲者は陶器になったようです…って新聞に書かれただけ??警察って何も捜査しないのだろうか…(韓国の映画の警察は 絶対に何もしないっていう決まりがあるのかな…)
あと散々人を殺して証拠も残しまくっているであろうテスが 秘密がバレそうだからって理由だけでポクスンとナリを執拗に追い回すのも不自然なのですよね。
警察に相手にされるキャラではないし 放っておいても良かったのに…なぜ?…。
昔、13日の金曜日という映画の中で、ジェイソンが特定の人物(グループ)だけを執拗に追い回してる時も同じように思ったことを思い出しました^^;
(確か ニューヨークに行く、みたいなやつだったと思いますが)
無差別殺人鬼だと思っていたのに…いつの間にかストーカー化しててちょっと不自然だった気が。
(それでも あの映画はホラーというジャンルだったから、なんとなくまぁいいやって思えたんですが)
ちゃんと内容を把握していない可能性もある…違ったらスミマセン…
あとは、、シリアスなシーンから急に笑わそうとするシーンになったりして、う~んう~んどんな気持ちで観るのが良いのだろう?って悩んでしまう。
トランポリンで跳ねている用心棒とか普通に笑わそうとしてますよね…
(いや、少し笑ってしまったのも事実です)
そして その用心棒は「奴隷の島、消えた人々」にも出ていました(笑)
あと冒頭の太陽になっているお婆ちゃん?とかも 正直、要らないなぁ~と思ってしまうけど、きっとポクスンには あんな風に世界が見えているんでしょうね。メルヘン。
テスがナリを捕えたあと、ワインを飲んでいるシーンがありました。
飲んでいる間だけ逃げていいと。その代り、もし捕まったら殺すと言います。
そして、ナリをかくまった人間も殺すと。だから助けを求めるなら強い奴にしろ、とアドバイスしていました。
たまたま縁があって選んだのがポクスンだったけど、結果的にテスを倒すわけですから、ポクスンはテスの言う「強い奴」だったってことになりますね。
そう思うと、なかなか面白い着地点かも…とも思えます。
強さってなんだろうな~とちょっと考えてしまいました。
沢山ツッコミを入れたい人に向いている映画だと思います(笑)